
ペーパークラフト交流会

「盛岡×大槌 ペーパークラフト交流会」は、講師に澤口勝美さんをお招きして、盛岡市少年少女発明クラブと大槌小学校から手作り倶楽部として、合わせて20名ほどで交流を行いました。会場は盛岡市子ども科学館で、澤口さんからペーパークラフト教室と震災直後のお話を伺いました。
会場の盛岡市子ども科学館へ先に到着したのは大槌の皆さんでした。短い時間ではありましたが、科学館内の展示やプラネタリウムを楽しんでいただくことができました。手に触れて遊べる展示や宇宙の不思議に触れ、皆さん興味津々でした。また、昼食をとったあと、交流会が始まるまでの間、科学館前の公園で鬼ごっこやボール遊びを楽しみました。大槌ではこのように力いっぱい走り回ることのできる広場は、まだあまり無いそうで、子どもたちは元気よくエネルギーを発散させていました。


午後からは盛岡の少年少女発明クラブの皆さんが加わりいよいよ交流会のスタートです。自己紹介のレクリエーションでは、趣味や頑張っていることなどの話題で盛り上がりました。はじめは恥ずかしそうにしていた参加者も共通の話題を見つけて自然と会話に参加できました。発明クラブの保護者さんや大槌から引率で来てくださったNPO法人ワーカーズコープの皆さんも、子どもたちの会話に交じって話題を広げてくださいました。
ペーパークラフト教室では、澤口さんのお手本を真似て、みんなで妖怪の「一反木綿」をつくりました。手先が器用な子、仕事が丁寧な子、色遣いにこだわる子、お互いにコツを教え合いながら作品を完成させました。同じ形にカットされた一枚の紙からのスタートでしたが、出来あがった作品は本当に十人十色。お友達を笑わせようとおかしな顔をつくった子もいました。最後に澤口さんとジャンケン大会。商品は澤口さんがつくった様々な妖怪の仲間たちです。河童に人魚に化け 猫…。かわいい妖怪が大集合でした。


最後に盛岡の参加者を対象に、澤口さんからお話をいただきました。はじめに大槌町桜木地区の発災時の被害状況を前後の地図を見比べながら具体的に教えていただきました。それから震災後の状況へと話は進みます。震災以前から工作を通して地域の子どもたちを見つめ関係を築いてきた澤口さんは、震災後の子どもたちの変化について、「大人の勝手な都合で我慢を強いられている。非常な危機感を抱いている。」とおっしゃいました。復興はまだ始まったばかり。しかし子どもたちの成長の時間はそれを待ってはくれません。澤口さんは子どもたちの声なき叫びを伝え続けます。
わたしたちだって心配です。故郷のこと、これからのこと、友達のこと。
澤口さんのお話をじっと聴いていた子がいました。交流会が終わった後、「私にできることはありますか」といち早く質問に向かい、お話を熱心に聴いていました。澤口さんは笑顔で質問に応えます。子どもたちはきっと震災のことを大人とは違う視点から敏感に感じ取っているのです。それは被災地だけではなく盛岡でも同じことではないでしょうか。私たち大人が子どもたちに伝えるべきこと、次の世代に復興を託すために伝えるべきことはいったいどのようなことでしょうか。
